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ソムリエ二次試験、香りのコメント、特徴(赤)

白ワインと同じように、どのような香りがするかを何かワイン以外の物に例えて表現します。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では下記の項目に分けて回答します。

  1. 果実・花・植物
  2. 香辛料・芳香・化学物質

項目毎に多数の選択肢があり、その中から複数個選択します。選択できる個数はワイン毎に決められていて、解答用紙に指示されています。赤ワインの場合は下記の個数が指示されることが多いようです。

  1. 果実・花・植物: 2〜8個(2020年は赤は全て5個)
  2. 香辛料・芳香・化学物質: 3〜6個(2020年は全て3個)

1. 果実・ナッツ(赤)

フルーツの香りは、ワインの香りの基本となるものです。一般には、フレッシュ、加熱加工(ジャム)、ドライフルーツと区別して表現しますが、ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では区別せず、下記のような用語で表現します。

度合い二次試験で使われる用語良く適合する品種
1
赤系果実
イチゴガメ
2
赤系果実
ラズベリーピノ・ノワール、グルナッシュ
3
黒系果実
ブルーベリーシラー、サンジョヴェーゼ、メルロ
4
黒系果実
カシスカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
5
黒系果実
ブラックベリー
ブラックチェリー
シラーズ、ジンファンデル
6
乾燥果実
干しプラム
乾燥イチジク
ネッビオーロ、テンプラニーリョ

度合いは、まずブドウ品種によって度合い1〜6のどこに属するかがだいたい決まります。そして同じ品種でも、寒冷な産地のものは度合いがより低くなり、逆に温暖な産地のものは度合いがより高くなります。

度合い6のドライフルーツの香りは、過熟のブドウから造られたワイン、または熟成させすぎたワインに良く感じられ、一般には赤ワインの香りの欠点を表します。ただし、ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では、熟成したネッビオーロや、熟成したテンプラニーリョの香りを表すために良く用いられます。

2. 花、植物(赤)

花の香りは、一般にワインの若々しさを表します。また、植物の香りは、一般にブドウの成熟度合いを表します。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では下記のような用語で表現します。

種類二次試験で使われる用語
バラ
スミレ
牡丹
ゼラニウム
植物ピーマン
メントール
シダ
針葉樹
紅茶

タバコ

「バラ」は発酵によって生まれる香りで、品種を問わず赤ワインが若い時に出す典型的な香りです。甘いというよりも華やかな香りで、熟成すると少なくなります。

「スミレ」と「牡丹」はどちらも甘い香りで、赤ワインの花の香りを表現する時の定番の用語です。どちらかというとスミレの方が上品で、牡丹は濃厚な香りです。軽めの赤ワインの場合はスミレが、重めの赤ワインの場合は牡丹が良く用いられます。

「ゼラニウム」は、乳酸菌の作用で発生するオフフレーバーとされていて、現在ではこの香りをワインの中に見いだすことはまれだとされています。正解に入ったこともありましたが、この用語を用いる事はおすすめできません。

植物

「メントール」はミントの香りの主体となっている成分の名前です。ミントと同じ香りと考えてください。若いカベルネ・ソーヴィニョンや、オーストラリアのシラーズなどに良く感じられます。

「シダ」自体には香りはありませんが、これは草や葉っぱなど植物全般のグリーンな香りを表す用語で、ブドウの熟度が足りなかった赤ワインに良く感じられます。いわゆる青臭いピーマンやシシトウのような香りと考えてください。「ピーマン」も同じような意味で用いられます。

「針葉樹」とはスギの木の香り、つまり樹脂香の一つと考えてください。カベルネ・ソーヴィニョンに良く感じられます。

「紅茶」、「土」、「タバコ」は熟成香です。赤ワインが良好にビン内熟成した時に出てくる香りです。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では「紅茶」が、ピノ・ノワールに対して良く用いられます。

3. 香辛料・芳香・化学物質(赤)

赤ワインの香辛・芳香・化学物質の香りは、ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では下記のような用語で表現します。

種類二次試験で使われる用語
動物性の香り動物的なニュアンス
鉄分
生肉
グリエ
乾いた肉
なめし革
焦げ臭ロースト
コーヒー
カカオ
スパイス香ヴァニラ
黒胡椒
丁子
シナモン
甘草
ナツメグ
化学物質樹脂
ヨード

動物性の香り

「鉄分」というのは血液のような香り、「生肉」というのは血が滴っているような赤身の生肉の香りと考えてください。そして「グリエ」というのは網焼きした肉の香り、「乾いた肉」というのは燻製された肉の香りと考えてください。そうすると違いが分かりやすいと思います。

これらは全て、多くの赤ワインで動物的な香りを表現する時に用いられます。いずれも、わずかな場合はワインの香りに深みを与えますが、過ぎれば不快に感じられます。

「なめし革」は熟成香として用いられることが多く、動物の皮と、その皮をなめす過程で使用されたフェノール性の薬剤の混ざった臭いです。革製品の匂いと考えると分かりやすいと思います。わずかな場合はワインの香りに深みを与えますが、多すぎればフェノール臭と呼ばれる汚染されたような臭いになります。

樽香

新樽熟成に由来する樽香は、赤ワインの場合下記の用語を使って表現します。ソムリエ、ワインエキスパート二次試験では、「チョコレート」と「ヴァニラ」が用いられることが多いようです。

  • 弱い樽香: シナモン、丁字(どちらもスパイス香のところにあります)
  • 強い樽香: チョコレート、ヴァニラ

スパイス香

スパイス香の中で、「黒胡椒」はシラーやカベルネ・ソーヴィニョンに良く感じられます。「甘草」はたくさんの漢方薬に配合されている生薬です。少し甘くスパイシーな香りで品種を問わず良く感じられます。

化学物質

「樹脂」とは、スギ、ヒノキなどの木材の香りです。多くの赤ワインに感じられる香りですが、特にカベルネ・ソーヴィニョンのワインに良く感じられます。

「ヨード」は、海藻や牡蠣の香りです。ジンファンデル、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョに正解として用いられたことがありますが、一般に赤ワインにはあまり感じられないと思います。