受講生の声・渡邉幸生さん
第1章 一次試験を振り返って・3つの特徴
「やっと、終わった...。」
ソムリエ協会Webサイトの合格者ページに自分の番号を見つけた時の正直な気持ちです。2018年の夏、私はワインエキスパート試験を初めて受験し、無事に合格することができました。受験前は「合格したら、飛び上がるほどの達成感があるんだろうな」と思っていましたが、実際に合格して得られた感情は床に倒れこむような安堵感でした。
なぜなら今年の試験は予想外なことが多くなかなか事前のプラン通りにいかず、目の前で起きていることへの対応にかなり追われたからです。いま思うと、「もっと、ああしておけば良かった」と後悔することが多々あります。今回は来年以降に受験される方の一助となればと思い、体験記を書きたいと思います。
2018年の一次試験を振り返って
2018年の試験の特徴を私なりに挙げると大きく三つあります。
1. 紙の試験からCBT試験へ
一つは一次試験がこれまでのマークシート方式の試験からCBT(Computer Based Testing)というパソコンでの試験に切り替わったことです。以前のマークシート方式は特定の日に受験生一同が指定会場に集まり同じ時間に一斉に受験するという、いわゆる一発勝負の試験でした。
しかし今回のCBT方式は7/20~8/31の期間中に「テストセンター」という全国にあるパソコンが多数設置された会場に各々が予約のうえ出向き、各自の都合で受験する形となりました。
2. 一人2回受験できる
一次試験の二つめの特徴は、期間中に2回受験することが認められたことです。ただ、2回受験できるといっても、もちろん2回とも全て同じ問題が出るわけではありません。事前にストックされている多数の問題からコンピューターがランダムに選んで出題することになっています。実際に私が2回目を受けたときは、1回目と被った問題は3問ほどだったように思います。
ちなみに、私は1回目の受験を8月15日、2回目の受験を8月31日に設定しました。この予定を組んだ意図は、まず1回目は8/15までに先に受験した人たちから出題情報を得ようと思ったこと(情報を得ることについては、ソムリエ協会から禁止令は出ませんでした)。2回目の日程は、自身の1回目の受験を踏まえての修正を8/31までの約2週間で図ろうと思ったからです。
3. 難問奇問が出題された
一次試験三つめの特徴は内容についてです。結論から言えば、極端に難しくなりました。
これは今年からCBTへ移行したことも関連していると思われます。従来のマークシート方式は受験生が一斉に受けるので、出題する側からすれば例年130~150問程度を用意しておけば良かったはずです。ところが、今回の2018年試験はCBT方式かつ2回の受験が可能となったことで、受験日が異なる受験生同士での問題の被りと2回受験での問題の被りを極力小さくするために、出題者は大量の問題を用意する必要に迫られたはずです。
噂では今回の試験で2500問以上が用意されたとも聞きました。1冊のソムリエ教本から2500以上の問題を一気に作ろうとするとどうなるか? 結果として、重箱の隅をつつくような問題や悪問・奇問の類も出題されるようになりました。
結果: 情報収集が合格の鍵となった
以上のように2018年の一次試験はCBTへの転換に伴い、これまでの1発勝負の試験から、各自が一定期間内に試験を2回受けられる形になったこと。そして極端に難しい問題も出題されるようになったという点から、いかに受験生同士で出題に関する情報を事前に収集できるかが合格の鍵となりました。
その意味で、大手ワインスクールでは組織力を使って情報を収集していたようで、その量という面では圧倒的に有利のように思われました。しかし、聞いたところによると、人によってはそこには落とし穴もあったようなので、それについては後述したいと思います。